生体内での糖鎖の果たす役割について
糖鎖と聞くと、多くの人はいわゆる多糖類を思い浮かべるはずです。
代表的なものとしてデンプンやグリコーゲンがありますし、植物の細胞壁に存在するセルロースもそうです。
多少の知識がある人であれば、寒天の主成分も、消化はされないけれども多糖類だと知っているでしょう。
これはアガロースと呼ばれています。
もちろんこの他にも様々な多糖類が存在します。
ヒトにおいては、エネルギー源やその貯蔵庫の役割としてデンプンやグリコーゲンが重要な役割を果たしていることは改めて言うまでもありません。
セルロースやアガロースも、消化はされないものの食材としては日常的に用いられており、食物繊維としての働きを有しています。
糖鎖とはこのような多糖類だけかというと、実はそうではありません。
ヒトを始めとする動植物の中では、糖はそれらだけで構成される多糖類のみならず、タンパク質や脂質に結合して存在していることが分かっています。
そして、例えばアミノ酸がある特定の順番で並ぶことで特定のタンパク質が作られ、生体内で特有の働きができるようになっているのと同様、そこに結合する糖についても、どのタンパク質のどの部位に、どの順番でどんな種類の糖が結合するかによって最終的な働きが決まってきていると考えられているのです。
そして、ここで用いられている糖は、必ずしも私たちが通常の意味での栄養素と見なしている糖質、つまりでんぷんや砂糖に含まれているものだけではありません。